「こんな所で何してンの?」

(それは、こっちのセリフだよ・・・)
「間宮君こそ・・・」
「僕は『魔法の木』の写真を撮りに・・・」
「『魔法の木』・・・???」
「見る?」

何だか知らないが間宮君について公園の奥へと進んで行く。

(何なンだよ・・・その『魔法の木』って?)

公園の奥にその『魔法の木』はあった。

「これ?」
「古いクヌギの大木なンだけど・・・」

間宮君はペンライトを取り出してその木を照らした。

「えっ!!!」

私はペンライトで照らされたクヌギの木を見て言葉を失ってしまった。

「すっ、凄い!!!」
「この木は公園が出来る前からここにあったンだ」

そのクヌギの木には何匹ものカブトムシやクワガタムシ、色鮮やかな数々のコガネムシやカミキリムシ・・・そして名前はわからないけど大きな蝶たちが集まっていた。

「これが『魔法の木』なのね!」
「そう・・・秘密の」

間宮君は持っていたカメラのストロボに何やらフィルムのようなものを取り付けている。

「???」
「虫たちを驚かせないようにストロボに青いセロハン紙を貼り付けて撮影するンだ」

(あっ!あの青白い光はこれだったのか!!!)

「こうして撮影すると写真も青味がかかった幻想的な仕上がりになるしね」

そっと虫たちに近寄って間宮君は写真を撮り始めた。