「髪型はキッチリ七三に分けて・・・」
「???」
「ダサい黒ブチのメガネで・・・」
「・・・・」
「ストロボ付きのカメラを持って」
「そいつ、カメラ小僧の間宮だよ!」
詩織が叫んだ。

「間宮?」
「間宮信平・・・親が『マミヤ写真館』ってカメラ屋の」

親友の詩織は、彼と同じクラスだった。

「でも、麗香・・・なんで信平のことを?」
「まぁ・・チョット」

あの夜、ひったくり犯からバックを取り戻してくれた御礼をちゃんと言ってなかったことが気になっていた。

「あんなドジでネクラなカメラ・オタクが麗香のタイプなの?」
「タイプじゃないけど・・・」

(そんなタイプなンだ・・・彼は)

「・・・で?」

私は教室の中を見回した。

「信平は休みだよ」
「休み?」

(それを先に言えよ!)

「なんで?」
「鼻血が止まらないンだって」
「?」
「いつもだよ・・・興奮すると」

(ちょっと責任感じるなぁ・・)

「エッチな写真集とか見ていたンじゃない?」

事件のことを知らない詩織が無責任に笑った。