「あっ!」

それは突然の出来事だった。

「泥棒!」

そう、叫ぶだけがやっとだった。

深夜、バイトの帰りにバックをバイクの男にひったくられた!

「誰か!捕まえて!!!」」

だけど、次の瞬間、逃げて行く男の前で何かが青白く光った!

ガシャン!と衝突音が響いて、バイクが転倒する。

「???」

何が起きたのか暗くてよく見えない。

でも、2人の男が争う声が聞こえた。

騒ぎを聞きつけて、近くのコンビニから人が出てくるのが見える。

逃げてゆく1人の男の後姿が見えた。

そして、もう1人の男が私のバックを手に持って近づいてくるのも見えた。

「はい、バック・・・」

彼は肩で大きく息をしながら私にバックを手渡してくれた。

「・・・?」

なんと!ひったくり犯からバックを取り返してくれた彼・・・
クラスは違うけど同じ高校の、間宮信平クンだった。

(もっとも、彼の名前を知ったのは翌日のことだけど・・)

「大丈夫ですか?」
「・・・・」

(さっきの青白い光はこれだったンだ・・・)

彼は肩から大きなストロボが付いたカメラをさげていた。

「私は大丈夫だけど・・・」

彼の鼻から血が出ているのが見えた。

「はっ、鼻血が・・・」
「あっ・・・」

彼は慌てて鼻を手で押さえた。



これが、彼・・・雨宮信平と、私・・・結城麗香の出会いでした。