幽霊騒ぎまで持ち出しておきながら、犯人を間違えるというシチローの体たらくぶりに、わざわざ集められた皆の怒りはなかなか収まらない。


「まったく!今まで、さんざん引いてきた『伏線』は何だったのよ!」


まるで、読者を代弁するようにてぃーだ。


「私を犯人扱いした責任とれ~!」


犯人と間違えられたみどりの怒りも当然と言える。




「もっと子豚ちゃんの
『出番』増やせ~!」



「そろそろ、ビール飲ませろ~!」



後半のやつは、意味不明だ……




そんな時、松田刑事がある異変に気付いて叫んだ!


「おい!おトキさんがいないぞ!」


いつの間にか、おトキの姿が部屋から消えていた。


「しまった!逃げられたか!」


慌てて窓から外をのぞくシチローが叫んだ。



「大変だ!松田刑事のアテンザが無くなってるよ!」


「なんだとぉぉぉ~っ!あのババア~!」


「なるほど♪あのダイイングメッセージって
『ババア』のババだったんだ♪」


なんとも間の抜けたタイミングで、ひろきが納得したように頷いた。



先程まで半泣きで謝っていたおトキが、まさか逃亡を計るとは予想外だった。


「クソッ!すぐに本部に連絡して非常線を張らないと!……しかし、あまり深追いして車をぶつけられても困るな……」



新車だからね……