「そう。一見、彼女は
事件に全く関係が無いように感じられます…
それ故に、この捜査は難解を極めた!
…では、ひとつずつ順を追って説明していきましょう」
シチローは、手始めに
小島みどりにこんな質問を投げかけた。
「みどりさん、アナタは大学で美佳さんと、ある漫才コンビを結成し、学内で時々漫才ライブを披露しては、学生達を楽しませていた。
その漫才コンビの名前を教えて貰えませんか?」
「美佳と組んでいたコンビ名は『ハチハチ組』です」
素直にシチローの質問に答えたみどりに、シチローは“ありがとう”と微笑むと、再び、招待客の方へと向き直った。
「そう。この『ハチハチ組』…これは、美佳さんとみどりさんが揃って
88センチのバストを持っていた事から付けられた名前なのだそうですが、この『ハチハチ』を漢字に直すとこうなります」
『八八』
シチローは、前もって用意していた白いボードにマジックで大きくそう書いた。
「こ、これは!」
「美佳さんが死ぬ間際に書いたというダイイングメッセージは『ババ』でした。
しかし、この濁点についてはナイフで刺された際に飛んだ血しぶきかもしれないという指摘もありました……
つまり、『ババ』かもしれないし『ハハ』かもしれない…」
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