本当ならば、かの名探偵シャーロック・ホームズのようにパイプでもくわえていれば格好良かったのに…などと思いながら、シチローは煙草の煙をゆっくりと吐いた。


「皆さん……松田刑事が言ったように、犯人はこの中にいます。
…が、馬場よしこさんではありません」


「じゃあ、犯人は一体誰なんだ。探偵さん!」


一度は帰ろうとした招待客達は、再びシチローの周りに集まり、興味深い表情でシチローの次の言葉を待った。



「実は、さっき松田刑事と馬場よしこさんの大学へ行った時、オイラは
美佳さんの事について
学生達に色々と聞いて回っていたんだ」


「えっ?お前、コンビニで少年ジャンプ立ち読みしてたんじゃなかったのか?」


驚く松田。


シチローが松田に頼まれたアンパンと牛乳を買いに行ったまま、一時間も帰って来なかったのは、そういう訳だったのだ。


「その時、オイラの中で引っかかっていたこの事件に関わる謎が、全て解き明かされたんです。
……パーティーの騒ぎに紛れて、岡崎家のひとり娘『岡崎美佳』さんを殺した犯人は……」