おトキさんは岡崎に言われた通り、すぐさま警察に連絡を入れた。


その電話でおトキさんは警察から、出来るだけ現場をそのままの状態に維持しておく事、パーティーに来た人間の招待客リストを用意しておく事、などの注意を受け、その事を岡崎に伝えた。



「……という事だそうです。旦那様」


「招待客リストか……
早速用意しよう。問題はお客様への対応だな……警察が来れば屋敷中が大騒ぎになるのは明らかだ!」


ほどなく、岡崎夫人が別室にしまってあった招待客リストを持って来て岡崎へと手渡した。


そのリストに書かれている名前を順番に目で追っていた岡崎だったが、
ふと、見慣れない名前にその目が止まった。



「森永探偵事務所?
……誰かね、これは?」


「ああ、その方達でしたら、私が懇意にしている舞台役者の方のご友人の方々ですわ」


そんな夫人の言葉を聞いて、岡崎はこの巡り合わせに何か運命的な符合のようなものを感じた。


「殺人事件の現場に偶然居合わせる……まるで、推理小説の『金田一』か『明智小五郎』のような登場の仕方だ……

間違い無い!この森永
という探偵、相当に頭の切れる名探偵に違いない!」