「松田刑事、どうせだったら隣にいるみどりさんも連行しよう!
さっきはあまり話が訊けなかったからね」


「ん~…連行するのは馬場よしこだけでいいんじゃないのか?どうせ犯人は馬場よしこなんだから……」



「だったら行かない!」


「なにを!警察に協力しない気かっ!」


「容疑者を連行するのは警察の仕事だろ!何で
オイラが行く必要があるんだ!」


実を言うと、松田は今時の若い女子というものが苦手だった。


つい先日も、聞き込みをした女子高生に自慢の
チノパンをバカにされたばかりだ。


「わかったよシチロー……小島みどりも一緒に連行してくればいいさ…」


そして話がまとまり、いざシチローが助手席のドアを開け、外に出ようとした……その時だった。





「あっ!!」



「どうした!気付かれたか!」















「みどりさんが
『犬のウンコ』踏んだ…」


「やっぱりダメだっ!
小島みどりは車に乗せない!」



マツダの青い『アテンザ』は、松田刑事が
3年ローンで先月購入したばかりの、ピッカピカの新車であった。