思いもよらぬおトキの返答に、岡崎夫妻は信じられないといった顔で慌てて二階へと上がって行った。


階段を駆け上がりきり
長い廊下の途中に、ドアが開け放たれ部屋の灯りが漏れている場所がある。


この部屋が美佳の部屋であった。



「!!!」



息を切らせながら部屋に飛び込んだ岡崎は、目の前の惨劇に言葉を失った。


高級そうなフローリングの床に、うつ伏せになって倒れている岡崎の娘、美佳。


その胸から脇にかけての辺りからは、真っ赤な大量の血が床を伝って流れ出ている。



「誰がこんな酷い事を……」


あまりの事に軽い目眩を覚えたのか、岡崎夫人は額に手をあて慎也の胸へと力無く寄りかかってきた。


そんな夫人を両腕で抱えながら、慎也はおトキに向かって指示をする。


「おトキさん、すぐに警察に電話してくれ!」