「どうだい♪『名探偵』のシチローさんよ♪
これが探偵風情と警察組織の捜査力の差というものだよ…すまんな♪
これで『チェックメイト』だ♪」


「うぅ………」


高笑いする松田の皮肉たっぷりの言葉に、思わずたじろぐシチロー。


「これはもう、本命間違いなしだね♪」


ひろきまでもが、松田の勢いに乗っかりそんな事を言う始末である。


「よしシチロー!今から馬場よしこを連行しに、彼女の大学まで行くぞ!」


「え~~っ!
その大学ならさっき行ってきたばっかりだよ…
行きたきゃ、松田刑事
ひとりで勝手に行けばいいだろ!」


松田刑事に天下を取られ、面白くないシチローは口を尖らせて文句を言った。


「文句言わない!
『一般市民』が警察に協力するのは当然の事だ♪」


今や完全に天狗になっている『チノパン刑事』には逆らえない。


シチローは、渋々、松田刑事との同行を承諾した。



「じゃあ~私達は、岡崎邸に残ってご馳走でも頂いてるから、シチロー頑張ってね♪」


満面の笑顔でシチローを見送る薄情なエージェントを横目に見ながら、膨れっ面のシチローは松田と共に大学へと向かったのだった。