一緒に漫才コンビを組む程の仲である美佳が殺されてしまったというのに、みどりの態度はやけに素っ気ない。


「みどりさんは、あの日のパーティーで生前の
美佳さんと何か話とかしなかったかな?
どんな些細な事でも構わないんだけど♪」


「あの……私、今忙しいんですけど!この靴、今日中に仕上げなきゃいけないもので!」


シチローの質問に答える事なく、そう言って靴造りに集中しようとする
小島みどりだが、それも美佳の事件から話をそらす為の言い逃れのようにも聞こえる。



シチローは、仕方なく事件の質問をするのを止めた。その代わりに、みどりの造っている靴を眺めながら別の話題を振ってみる。


「靴、上手いね♪
今度友達の靴も作ってくれないかな~
そいつの足『28センチ』なんだけど♪」




その瞬間、みどりの手が止まった。



「あのね!
足の形っていうのは人によって違うの!大きさだけ解ればいいってもんじゃ無いのよ!市販の靴じゃないんだから!」


「あっ!そういやそうだね……じゃあ~それはまたの機会に♪」



シチローは、頭を掻きながらみどりにそう言ってから、これ以上のやり取りは無理だと思ったのだろう……横の三人に目配せをすると、みどりに挨拶をして作業場をあとにした。