岡崎には、今年二十歳になる大学生の美佳(みか)という娘がいた。


パーティーも佳境を迎え始めた頃、岡崎はふと、パーティー会場に美佳の姿が見当たらない事に気付く。


「おや?美佳はどこへ行ったんだ…おトキさん、ちょっと呼んで来てくれないか!」


おトキさんというのは、この岡崎家で雇っている家政婦の名前である。


「はい旦那様、美佳お嬢様はきっとお部屋でお化粧直しでもなさっているんじゃないでしょうか♪」


家政婦のおトキは、ニッコリと笑ってそう答えるとパーティー会場を出て美佳の部屋である二階の方へと歩いて行った。


生演奏で奏でられる優雅なピアノの音色。


豪華な食事にシャンパンとワイン。



終始和やかなムードで進んでいたこのパーティーで、このとき、一体誰がこの後起こる惨劇を想像する事が出来ただろう。