彼女さんもあたしも泣いている。

でも涙の理由は全く違うもの。

雄は泣いている彼女さんのほうじゃなく、あたしの方を見てきた。

ヤバイ!!バレる!!

「そこの盗み聞きさ~ん……。バレバレですよ~」

………ヒョコっと顔を出したあたしは雄よりも先に彼女さんと目が合った。

「ご…ごめんなさ~い。」

あたしは舌をペロリと出した。

「お前反省してないだろ……。まぁ俺は、気にしないけど他の奴なら嫌われてたかもな?」

少しだけニヤリと笑っている。

そんな時、彼女さんがこっちを見てきた。

「あんたが全部悪いのに!!ヘラヘラしないでよ!!!」

キツイ目付きで睨まれる。

………あたしって悪い?

「綾、気にすんな~」

呆れ顔の雄はあたしを見てきた。

…あたしなんかしたわけ?彼女さんが勝手にフラれたんじゃん…。

あたしに八つ当たり?ワケわかんない…。

考えれば考えるほどイライラしてきて、あたしは部屋を出て階段を降りる。

そのまま玄関をおもいっきり開けた。