「ヤッバー……目腫れてるわ~…」

あれからあたしは泣き続けた。

そのせいで目が腫れている。

「……めんなさい…本当にごめんなさい!!」

鏡に向かっていると外から女の子の声がした。

……聞いた事のある高い声。

あたしは外から見えないようにそっとベランダに出た。

「綾は俺にとって大切な人なんだ…。雛乃は何も知らないで……」

大切な人……?

昨日の事、言ってくれてるの?

「あたしよりも大切なの!??あたし彼女でしょ?」

その言葉があたしの心に傷を負わせる。

「……昨日言ったはずだろ?俺ら別れたんだよ。いちいち来ても迷惑だから。」

………別れたって、本当だったんだ。

彼女さんにとっては悲しいことだ、ってわかってる。

わかってるけど……でもあたしは嬉しかった。

今だけ、自分の気持ちに素直になってもいいよね…?