「きょ…今日ネ!?友達とライブ行くって言ってたんだけど、その子行けなくなっちゃって、雄とあたしは家が隣で……雄、暇そうだったから、誘ったの!!」

自分で言っているのが嫌になる。

でも言っている事は事実。

あたしのせいで雄と彼女が喧嘩したりするのは嫌だ……。

「あたし、高校違うし…雄に彼女いるって知らなくて………ごめんなさいッ!!」

涙が出そうになるのをこらえたまま話を続ける。

「も、もしよかったら二人でライブ行ってきて!??」

彼女さんにチケットを渡す。

「じゃあ雄一、行こ?」

最後に彼女の言葉を聞いてその場を後にした。

今のあたしには何も聞こえなかった。

周りの音も人の声も何もかも…全て。

雄には彼女がいたんだ。

あたしが1人で舞い上がってただけ。

バカみたい。

家の近くに来た頃にはもうあたしの涙腺は壊れたように涙がこぼれ落ちた。

あたしは一生懸命に涙を拭く。

「……ッ、うわぁぁぁぁあ……」

人通りの少ない道に着いたらあたしは声をあげて泣いていた。

「もう……嫌、だ……」