沈黙が続く



「帰るね。」
あまりに沈黙に耐えられなくていった。


「…昨日のことなんだけど…。」



「見たことは誰にも言ってないから安心して。」



「違っ。」
切羽詰まったように言葉を発する。



何が違うんだろう?
キスしたのはバッチシみてしまったし。私が泣いたところでも見られてしまい心配してくれたのだろうか。…それなら余計なお節介だね。



「……俺ら付き合ってないから。」





「えっ!?」


…付き合ってない?

でも、マドンナは付き合ってるって言ってはないけど付き合ってる雰囲気だったじゃん!しかも、キスだってしてたし…。



「昨日、花梨に告白されて、好きな奴いるから断ろうと思ったら、いつの間にかキスされてん。そのシーンを陽子に見られて、すぐ後追おうとおもったんやけど花梨が泣き付いてなかなか離れへんかってやっと離して追いかけたけどみつからんかってん。」



混乱してきた。


マドンナの片思いで、和紀君は無理矢理キスされた。

つまり、マドンナは和紀君が好きだけど和紀君はマドンナが好きじゃなくて別に好きな人がいる。


……どっちにしろ失恋にはかわらないじゃん。


「他の奴にも見られてたみたいで噂が広がってん。だから、俺らほんまに付き合ってないから。花梨は友達と思ってるし。これからも友達でいよってことになってん。」


「…うん。わかったよ。」


まあ、失恋ってことにはかわらないけどね。



「その好きな奴ってのは………陽子やねん。」




………………えっ?



「俺、陽子のこと好きや。だから、俺と付き合ってほしい。」
真剣な目でこちらを見つめる。


私が好き?

つまり、…両思い!


言葉を理解したときには目から涙が流れていた。嬉しすぎて嬉しすぎて涙がとまらない。

和紀君がそっと涙を拭いてくれた。


「…私も…和紀君が好き。」
涙で顔はぐちゃぐちゃで声は鼻声でめちゃめちゃか告白だったと思う。


けど、和紀君は笑顔でぎゅっと抱きしめてくれた。

そして、私は腕の中でおもいっきし泣いた。