少し浮かれ気分で放課後理科室に向かっていた。教室に和紀君いなかったから先にいるかな。
奈緒にはまた妖しいとか言われたけどほんとうになにもない。
しかも、私たちはただの友達だからね。
理科室が見えて来た。まだ一度も中に入ったことないな。カエルのホルマリン漬けとかあるのかな…想像するだけで気持ち悪いな。解剖の実験だけは絶対したくないな。
ガラッと扉を開けると
中には和紀君とマドンナがいて、二人がキスしてた。
…私って他人のキスシーン覗いてばっかだな〜。とかのんきに考えてる場合じゃなくて…二人とバッチシ目が合ってしまったので
「ごめんなさい。」
と勢いよく謝り、もう一度扉をしめた。
ちょっと待って。こんがらがってる頭を整理しないと…
二人がキスしてた=キスするような関係である=二人は付き合ってる=恋人同士
なるほど二人は恋人同士だったわけなんだ。
すっごく胸が苦しい。
二人がキスしてるの見るのすごくいやだったし悔しかった。
いまさらだけど私は和紀君のこと好きなんだ。
だから、特別扱いしてほしいと思ったし、優しくしてくれると嬉しかったんだ。
涙が溢れてきた。
扉の前にいるのはだめだと思い、上の階に上がって泣いた。
上の階は幸いあまり人が来ない廊下で今日は誰もいなくて座って泣いていた。
携帯が鳴っているのがわかって取り出したけどストラップを見てさらに泣いてしまった。
このストラップもつけてられないな。気に入ってたのにな。好きだから気に入ってたのかな。
そっとストラップを外してポケットにいれる。
いまさら自分の気持ちに気付くとか最悪。あんな可愛い子にかなうわけないしね。また伝えられないまま終わっちゃったな。