「ごめんね。私のせいで巻き込んじゃって。」
あのまま隠れていれば気づかれずに教室までいけたのにね。

「怒られるなら一緒の方がいいやん。」
笑いながら普通に言ってくれる和紀君はすごくやさしいと思う。
そういえば、和紀君は誰にでも優しいよね。
だから、女の子にもてるんだよね。

「ありがとう。」

「陽子はきにすんなよ。それに遅刻したのは俺のせいでもあるわけだし。」

職員室の前に着き、しつれいしますと声をかけながら扉を開け、先に和紀君がはいっていてくれた。

その後、1時間目が終了するまで怒られて、放課後に二人で理科室の掃除をするように言われた。

やっと開放されて、和紀君といっしょに教室に入っていた。



「おはよー。」
と奈緒と美香ちゃんに声をかけると


「二人で遅刻とか妖しいわ。」

「陽子が遅刻って珍しいわね。」


「別に妖しくないもん。たまたま会っただけだよ。」平然と言い放つとおもんないと奈緒がぶつぶつ言っていたが無視して次の授業の準備にとりかかった。

「和紀君、今日朝どうしたの?」
明るい女の子の声が耳に入った。この声は我が校のマドンナといわれる人のだったはず。そういえば、今和紀君に惚れてるらしいと聞いたことがあるな。

「寝坊してしもてん。」

「でも、垣内さんと二人で来たから…。」

「たまたま道で会ってん。」

たまたまか…。確かにたまたま会っただけ。みんなと同じように優しくしてくれただけ。みんなより上でもなく下でもないただの友達だもんね。けど、胸が苦しいのはなんでかな。二人が話してるのが辛い。

たぶん、和紀君が私に優しくしてくれたから勘違いしてるんだよね。少しは私のこと特別扱いかなって…。

「なんだー。それだけなんだ。和紀君、今日一緒に帰ろうよ。」

あんな可愛い子に誘われたら断れないよね。一人で掃除頑張るしかないな。理科室怖いけど…。

「俺遅刻指導で放課後に掃除まかされてるから無理やねん。ごめんな。」

えっ…一緒に掃除してくれるんだ。

「じゃあ、花梨も手伝うから一緒に帰ろうよ。」

「ごめん。陽子も一緒やから。」

「…そうなんだ。じゃあ、そろそろ教室戻るね。」教室を出ていくときに目が合って睨まれた気がする。