時計を見ると、

5時30分。6時まで後30分かー。

和紀君と遊んでると時間があっという間だった。

「もうすぐ6時やなー。最後に何のる?」

「観覧車のってみたいな~。」

子供のときからの憧れで、あんなに高いところから遊園地を見下ろしてみたかった。

子供のときにのりたいって何度も言ってたけど、お父さんが忙しくて一度も乗ったことがない。

「よっし。じゃぁ、いくか。」
と和紀君に手を出されて、思わずその手を握った。




なんの意味もないのだと思う。

ただ、立ち上がるのを手伝ってくれただけでなんとも思ってないんだろうな。

でも、なんでかな?

手を出されたときすごく嬉しくて、思わず握ってしまった。

そして、手が離れたとき少し残念だった。




「お二人様で?」
と観覧車の係員に聞かれて

「「はい」」
と二人同時に返してしまった。

係員の人は

「仲のいいカップルですね。こちらどうぞ。」
とすごい勘違いをしてしまって、私たちの間に微妙な空気が流れたが

向き合って座って、お互い顔を見合わせると二人同時にわらってしまった。


「すっごい景色きれい。」

「ほんまやな。」


観覧車から眺める景色は思っていた以上にきれいで、

しかもちょうど日暮れのため、町と空がオレンジに染まっていた。

色とりどりの遊園地も夕日の力でオレンジに染まっている。


涙が出てきた。



家族旅行とかなくて、家でお母さんと過ごした思い出ばかりで、子供のころはよく他の家の子に嫉妬してた。そのたびに、どこかに行きたいと泣き喚いてお父さんく困らせた。大きくなってお父さんとお母さんといる時間も少なくなり、思い出を作る機会も少なくなった。

だからこそこの綺麗な景色をお父さんやお母さんと見たいと思う。
子供の時にできなかったことがいまならできるかもしれない。

そう思うと涙が出てきた。