入った途端、温度が一気に下がる。
物音ひとつせず、私たちの足音だけが廊下に響き渡った。
このお化け屋敷は『学校の怪談』をテーマにしているみたいだ。
とにかく、亮とはぐれないようにしなくちゃ。亮の横をぴったり歩く。
「そんなに怖い?すっごい顔してるよ。」
と笑いながら話しかけてくる亮の顔にすこし怖さが和らいだ。
「だって、すごく出そうな感じするもん。」
「扉からいきなり骸骨があらわるとか。なんかわくわくしてきた。」
そんな無邪気に笑われても…。
ガッタ!!
とちょうど通りすぎた扉から死人が現れた。
「ぎゃぁーーーーーーーー!!!!!!!」
思わず、亮の手をつかみ全力疾走。
「はぁー。怖かった。」
やっと、落ち着いたところで亮の手を握っていることに気づいた。
「ごめんなさい!!」
「いいよ(笑)あのくらいであんなに叫ぶ人はじめてみたな。」
と大爆笑している亮。
「ほんとに怖いんだもん。そこまで笑わなくたって…。」
「ごめん、ごめん。おもしろくて。先に進もっか。」
その後もずっと私の叫び声は続いた。
「やっと出口だ。」
「よかったね。」
こんなに怖いお化け屋敷は初めて入った。途中何度叫んで走ったか。
「ありがとうね、亮。」
「こちらこそ。反応がすごく面白かったからある意味お化け屋敷より楽しませてもらったよ。」
「なにそれ~。」
外に出ると暖かく、まぶしいくらい明るかった。
「怖かったよ~、奈緒。」
と出て早々奈緒に抱きつく。まったく相手にしてくれなかったが。
「言ったとおりめっちゃ怖かったやろ?」
「うん。あの理科室が特に怖かった。」
「俺も俺も。後、保健室が怖かったわ。」
「確かに。亮はぜんぜん怖がってなかったよね。」
「井上さんもや。」
「二人が怖がりなだけやと思うわよ。」
「「違うもん(わ)!!」