席についた途端奈緒は隣の子に話し掛けてた。

奈緒ってすごいなぁ〜。
私は人見知り激しいから尊敬するし。

ぼぉ〜っと二人の会話をきいてると

「陽子〜!」

「へ?何?」
会話の内容聞いてなかった。

「隣の席の美香ちゃんだよ。」
美香ちゃんという人物を眺めるとスッゴク大人っぽい。色気あるし。同い年と思えない……。

「あたし、井上美香。よろしくね。」その満面の笑顔に男なんてイチコロだと思う。

「私は、垣内陽子。こちらこそよろしく。」

「はぁ〜い、うちはみんなご存知のように木下奈緒で〜す。二人ともよろしく。」

こんな私達が仲良くなるのに時間はあまりいらなかった。

「担任の先生誰やと思う?」奈緒が興味深げにきいてきた。

「確か名前は高津弘志だったと思うよ。」

「平凡な名前ね。どうせ中年の禿げたきもいおっさんよ。」美香ちゃんは見た目に反して毒舌であった。

「美香ちゃんひどい〜(笑)うちもそう思うけど。まぁ、何よりこの茶髪とやかくゆわんひとやったらいいわ。地毛やっていっとんのに今日も怒られたし。」

「「地毛!?」」
私と美香ちゃんが声を合わせて、驚く。

その色で自毛って無理あるだろう……

「うち、ハーフやねん。ママがイギリス人でパパが日本人。まぁ、生粋の大阪生まれやから英語全然だめやねんけどな。」


ハーフって…すごい。
可愛い理由がわかった気がする。


「ハーフとかカッコイイ。」と素直に言うと。

「大変やってんで〜。この茶髪のせいで先生には目つけられるしさ〜。ほら、名前がまるっきり日本人やん。だから、染めてるやろって。ほんまうざかったわ〜。」

ガラッ

という音と同時にガヤガヤしていたクラスが静まり返る。