今日はハンバーグか。
いい匂い。
私のお母さん料理はうまいの。
掃除は苦手みたいだけど。
「おかえり、お父さん。」
もう帰宅して先にご飯を食べている父に言い、
席に着いた。
「ただいま。学校はどうだ?」
父はおっとりとした優しい性格のため、なにかと仕事を押し付けられ、いつも帰りが遅かった。
今回の転勤も押し付けられたようだった。
「楽しいよ。友達もだんだん出来てきたしね。お父さんこそ仕事は?」
「いつもより早く帰って来れそうだな。仕事料が大分減って、楽になったよ。職場でおもしろい友人もできてな。」
いつもより楽しそうに話す父。
本当は私は転勤したくなかった。
幼なじみや小学校の友達と離れるのは悲しかったし、涙もでた。
でも、何より新しい都会の土地でやっていけるのか不安だった。
今、新しい土地で新しい中学生活を過ごしてみて、不安はなくなった。
やっぱり、寂しいけど。
お父さんが
楽しそうに仕事のことを話すことなんてなかったから。
今のお父さんを見ていると幸せな気持ちになる。