ザッザッ………


近寄る足音が聞こえてきて




「結っ!」




その声に視線を移す



あぁ、もう帰って来てくれた



そう思って 口元が緩むと



柊ちゃんは 厳しい顔つきで私の前に立ちはだかり




「何してんだ………」




その一言を言うと



ハァ――――――と
長く息を吐いて



柊ちゃんはしゃがみ込んだ




「ここにいると………」


ベンチに座ったまま
しゃがみ込んだ柊ちゃんの つむじを見つめ



「ここにいると藤代先生って呼びたくなるよ」




私が笑う



柊ちゃんは顔を上げて



「どうしてここに?」



だけど それは私が訊きたい



「藤代先生こそ、どうしてここに私がいるってわかったの?」



すっかり呼び方が前に戻ってる事に私は気づいていない




「何かあると…ここに来るんだって高校生の時に言ってたから」



柊ちゃんは困ったような表情をしてた