現実に引き戻したのは


公園中に鳴り響く


蝉の うるさい声だった



夏の夕暮れ


公園のベンチに座って見上げた空はまだ明るかった




どのくらい
ここで座ってたんだろう



病院で全てを聞いたら



家に帰れなくなった



途中で休み休み



ふらふら歩きながら


ここまで来た




熱で身体中が痛く



気を抜いたらベンチからクローバーの生い茂る地面に崩れ落ちそうだった




蝉の声に紛れて




遠くの方でバンッと車のドアが閉まる音がした