2月 最初の日曜日
「おいで、結」
「は~い」
寝室のベッドの隣にある
ドレッサーに結を座らせる
窓からは 外の寒さを忘れそうなくらいの
まぶしい太陽の光が差し込む
結の細い髪にヘアウォーターをシュッシュッと かけて
ブラシを通す
細い髪は絡まりやすく
毎朝、とかすのは大変だったり
ブラシが引っ掛かる度に
「結、痛くない?」
「ダイジョーブ」
結は もう幼稚園児ほど
小さくなっていた
手が小さくて不器用になった結のヘアスタイルを決めるのはオレだ
今日はポニーテールにしようかな
結の髪を束ねて、頭の高い位置でゴムで結う
小さな子供用の赤いタータンチェックのシュシュをつけた
「結!スッゴク可愛い」
鏡越し結に笑いかけると
「ありがとう、柊ちゃん」
はにかんだ ように結が微笑む
結の髪を結うようになってから
オレって実は器用だったと
初めて気がついた