『世界一可愛い』だって


ちょっと前なら言えなかった言葉を


今なら難なく言える


いや


何度でも 言いたい


結は世界一可愛い


オレの結は世界一……いや


宇宙一だって


この世の全ての人に言いたい




「ねぇ、ねぇ、柊ちゃん」



結は大きなテディベアを抱いて



「この子に名前を付けて」



「え?このテディベアに?」



結は ブンブンうなずいた



結が望んだクリスマスプレゼントは

チャームも何も付いてない

銀のネックレスだった



今、結の首には

指が小さくなって

はめられなくなった結婚指輪を通した

ネックレスが付けてある



そして誕生日プレゼントは


大きなテディベア


「この子に名前を付けて

あの時、生まれることのなかった

柊ちゃんと私の赤ちゃんに

付けるはずだった名前を」



「結…………」


生まれることのなかった

オレと結の赤ちゃん


そうだ。
全ては あの時から始まった



胸が押し潰されそうな
切なさが 込み上げて


テーブルにカメラを置き


結が抱きしめてるテディベアの頭を撫でた