12月26日
結の20歳の誕生日
デジタルビデオカメラの画面越し
電気を消したリビングで
ケーキの上に
揺れるロウソクの火を
キラキラした目で結が眺めてる
「♪HappyBirthday to you~♪」
オレが歌い終え
「結、おめでとう」
満面の笑顔で結は
ふぅ~~~~~~~~
「20」数字の形したロウソクを吹き消した
リビングが暗闇に包まれて
立ち上がり 電気をつける
「ありがとう、柊ちゃん」
オレはカメラを向けて
うなずいた
生クリームのケーキの上の苺が
結の大好物だ
「苺は全部、結のだよ」
「え――――っ」
困った声の割りには
嬉しそうな笑顔
切り分けたケーキを大きな口で頬ばってから
「………柊ちゃん」
「ん?」
「そんなに ずっとカメラ向けられたら恥ずかしいよぉ」
「いいじゃない?
結は世界一可愛い」
オレはテーブルに頬杖ついて
カメラの画面に写る結に笑いかけた