「藤代先生?」


結と手を繋いで歩いてると
後ろから声をかけられ



立ち止まり振り返ると



「芳賀(ハガ)先生」


同じ高校、国語科教諭の芳賀先生がいた


「偶然ですね、藤代先生」


「ええ」


芳賀先生は オレと同期で独身女性

綺麗な顔してるから高野先生が 密かに狙ってたりする



「あら」


芳賀先生がオレの隣の結に視線を落として



サッと 結はオレの背中に隠れてしまった


……………結?



「藤代先生、こちらは?」


妻の結です


言えないなぁ


芳賀先生は
結の一年生の時、担任だった



「……姪です」


チクチク胸が痛かったけど
そう言った



「姪?でも藤代先生って一人っ子ですよね?」


――――――ええっ、何で そんな事を芳賀先生 知ってんだよ



「あ~、姪…みたいな親戚の子です」



取り繕うように 言うと


やっと納得したように


「こんにちは~」と芳賀先生は結の目線に合わせて しゃがんだ