学校は
いつも オレを切なくさせた



教室も 廊下も 化学準備室も



ふとした時



制服を着た結が


「先生!」


そう呼びかけて来そうで――――――――――――






「今日まで
ノート提出だったよな?」



職員室で まだ課題を提出していない生徒を呼び出した



「え~、そうだけど
うち、マジで今、大変でぇ」



長い巻き毛を指で
触りながら生徒が



「柊ちゃん、聞いてよ
マジでうち死にたいくらい
大変なんだって」




――――死にたいくらい―――




結が病気になってから

気がついた



学校には


死にたい
死ね
殺す



そんな言葉が日常的に溢れてる




死にたいの?



だったら 結の代わりに
死んでくれない?




「柊ちゃん?」



――――――――ハッ



「……明日まで待ってやるから
絶対、もってこいよ」



「は~い」



生徒が職員室を出て行く後ろ姿を目で追って



……なんて事を



なんて事をオレは考えて……



大切な生徒に


結の代わりに死んでくれない?



そんな事を本気で思って………