柊ちゃんの横顔を見つめてると



少し驚いたように柊ちゃんは川の向こうに視線を向けて


「結、あれなんだ?」


あれ?


私も柊ちゃんの視線の先を見ると



小さな光りが不規則に点滅してた



――――――まさか



「火の玉!?」(結)
「ホタル!?」(柊)



私と柊ちゃんの声がダブった



……え?ホタル?



柊ちゃんは少しあきれたように私を見て


「墓地じゃあないんだから
火の玉はないでしょう?」



化学の教師な柊ちゃんは


非科学的なモノが嫌いだったりする



まぁ、ロマンがないなぁと


いつも思うけど



「そっか螢かぁ……」


口に出して言うと


急に感動が湧いてきて



「ねっ、ねっ、私、螢って初めて見た~!」



柊ちゃんの浴衣の袖をクィックィッ引っ張りながら



「うわぁ~!すごい!柊ちゃん、すごいよ!
柊ちゃんは?螢、初めて?」



まくし立てるように訊く私を



「反応、遅すぎ」



柊ちゃんは笑った