なんだそれ じゃないよ
他人から見たら私達が どんなに不自然な二人に見えることか……
「絶対、今頃、あの仲居さん
売春だとか騒いでるよ~」
私が頭を 抱えると
「なに言ってんの
結はオレの奥さんでしょう」
柊ちゃんは立ち上がり
窓辺に立ち
「すごい緑だ」
窓に手をついて呟いた
私が ため息をついて
テーブルの上のお茶菓子に手を伸ばすと
柊ちゃんは 振り返って笑い
「結、この部屋、露天風呂付いてんだよ」
旅館の予約とか全部 柊ちゃんがしたから
ここが どんな旅館か私は全く知らない
「へぇ~、すごいね」
一体 この部屋 一泊 いくらだろうと考えると
「結の浴衣姿、楽しみだな」
こちらに戻って来て座った柊ちゃんに
「じゃ、柊ちゃん一緒に選んでくれる?」
「うん」
童顔の1番の原因である
可愛い 大きな目を細め
柊ちゃんは笑った
思わず「可愛い」と言いそうになって
言葉を飲み込んだ