柊ちゃんの腕の中は
すごく温かいから
涙が止まらなくて
声を上げて 子供みたいに泣いた
「……結?…何が………」
私は強く首を横に振った
『どうせ助からない患者』
『研究材料』
『モルモット』
どの言葉も柊ちゃんに聞かせるわけには いかない
柊ちゃんは優しいから
私以上に傷つくから
何も言わずに 泣き続ける私に
「とりあえず、帰ろう。結」
柊ちゃんの
帰ろうって言葉が
すごく胸にしみた
帰りたい
帰りたい
ただ幸せだった
病気になる前に
帰りたい…………
叶わない願いだと
わかってる
だけど帰りたいよ
時間を戻して
そしたら
幸せなまま時を止めて
早く赤ちゃん欲しいなぁって
毎日、毎日 繰り返し
同じ毎日を繰り返したい