雨脚は だんだん強く
前髪の先から落ちる雫が
目に入り ギュッとつぶった
もう嫌だ 何もかも
私は
ずっと柊ちゃんのそばにいる
――――だけど
それを柊ちゃんが聞いたら
…………哀しませる
柊ちゃんは
きっと 最期の最期まで
治療に専念して欲しいと願ってる
病院へ通うだけで
薬を飲むだけで
入院する事だけで
柊ちゃんは 一縷(イチル)の望みに すがれるんだ
もしかしたら
私が治るかも知れないと
その望みが 絶たれた時
彼の絶望は 計り知れない
私が今 帰って
通院も治療も止めて
ただ 柊ちゃんのそばにいたいと願えば
私は 自らの手で
彼を絶望に突き落とすんだ