―――ハァ、ハァ、ハァ……
呼吸を乱し
雨に うたれながら
真夜中を走り続けた
帰りたい
帰りたい
待ってる人がいる場所に
柊ちゃん
早く帰りたいよ
もう嫌だ
もう嫌だ
このまま小さくなって
死んで行くのなら
私は一秒だって
無駄にしたくない
柊ちゃん
柊ちゃんのそばにいたい
最期の最期まで
一時間以上も かけて
マンションにたどり着くと
四階の窓を見上げる
カーテンの隙間から光が漏れて
………柊ちゃん まだ起きてる
逢いたい
帰りたい
抱きしめて欲しい
気持ちは たくさん 溢れるのに
私は部屋の窓の灯りを
見上げたまま
一歩も動けず 立ち尽くした