「それでね、なんでって聞いたら…」



たけちゃんのお母さんがこっちを見て



「柚に治してもらったって言ったの」



「それってもしかして…」



私は前から不思議だと思っていたたけちゃんとのことを思い出した。



「あのとき健が柚ちゃんのところまで行って肩を治してもらってたの」



「え、私そんなたけちゃんの肩治すようなことしてないですよ」


私は自分がそんなすごい人じゃないことはわかっている。



「ううん、柚ちゃんがそう思ってるだけ。柚ちゃん、健にマッサージ教えてあげたわよね」



そう、私は確かにたけちゃんにマッサージを教えてあげた。





教えた後たけちゃんはうれしそうに


「柚ありがとな、マジで助かったわ」


といって走ってどこかに行ってしまった。



あの言葉はすごく今でも覚えている。


「病院つきました!」



看護婦さんが言うと私とたけちゃんのお母さんはたけちゃんのほうへ走って行った。



「健くん?聞こえますか?病院ですよ」


医師の声が聞こえた。


「健!健!しっかりしなさいっ、健」



お母さんが涙を流し、叫びながら


そしてたけちゃんは手術室に入って行った。


「たけちゃーん!」


私も叫んだ。


また野球をやるたけちゃんの姿が見たかったから。