早紀ちゃんは、黙って「うんうん」と頷いて、私の伝えたかった言葉をすべて聞いてくれた。
叶くんも黙って私の手を握って、隣で聞いてくれた。
とっくに、チャイムなんて、それも何度も鳴っていて、当然HRも授業も始まっていて。
それでも、この場にいる誰も気づかないで、私の話に耳を傾けた。
「…結局、好きの決定打は分からないままだけど、叶くんのこと、目で追っちゃったり、叶くんで頭がいっぱいになって赤くなったり、逆に頭の中が真っ白になっちゃったり、それはもう、好きなんだって…」
「ストップ」
「え…」
「もう、勘弁して…!!」
繋いだ手から伝わる脈の速く荒いこと。熱くなっていく体温。
叶くん、照れてるの…?