「ふふ、」
私は笑った。叶くんの腕の中で、特に理由もなく、ただ叶くんを目の前に…。
多分、すごく幸せな証拠。
「あ！」
私は叶くんから離れた。
「何」
「私…沙枝さんに…」
「心配いらない。南とも春樹と同じくらい付き合い長いけど、藤沢に嫌がらせするような奴じゃない」
私も、そう思う。
「でも、私は、沙枝さんの悲しむ姿を知ってる…叶くんのことすごく好きなのも」
「…どうしたいの？」
「沙枝さんにちゃんと伝えたい。私も同じ人を好きになったって。沙枝さんに負けないくらい好きって」
「あ、…うん。そんなこと言われたらもっと触れたくなる」
叶くんは額を合わせてきた。
「いいよ…？」
「…熱、下がってからな」
「うん」
