「本当は昨日、藤沢の気持ち聞いたとき、直ぐにでも触れたかった…」




耳元で聞こえる叶くんの声に脳が溶けていく。




「今日、春樹に藤沢泣かしたら奪うって言われた。譲らないけど。俺、泣かさないから」




私を包み込む腕が逞しくて、言葉が心強くて、嬉しくて、叶くんの体温が心地良くて


私は涙を無意識にながした。




「あのね…、聞いてた? 泣かさないって言ったばっかなんだけど…」

「ごめん、嬉しくて…」

「じゃ、ノーカウント」




叶くんは親指で私の涙を拭った。