ざわつく教室の中。



席に向かうと、後ろの席の本田早紀が声を掛けた。



「亜希、どうしたの?」

「あ、自転車が壊れちゃって…」

「うわ…帰り私の後ろ乗る?」

「ありがと。でも二人乗りは違反だし、それに、帰り遅くなるかもしれないから…。早紀ちゃんバイトあるでしょ?」

「あぁ~そうだ!! ダメじゃん!! ごめんね、亜希」

「ううん、ありがとう」



早紀ちゃんは少しも悪くないのに、申し訳ない気持ちにさせてしまった。
早紀ちゃんはこの学校で唯一の私が気を許せるお友達。



「よ~し、授業始めるぞ。静かにしろ~」



私は、先生の声と共に前を向いた。