図書館で、窓際の一番端の席に座り、叶先生の個人授業を受けること数時間。
私は誰かの優秀な脳と入れ替えたのかと思うほど、成果が見られるまでになっていた。
「すごい…、叶くん。すごく分かりやすいよ」
「普通だろ」
「そんなことない。私…この問題も解けたことなかったのに、叶くんのおかげで分かったもん。絶対教えるの上手いよ」
「そりゃ、どーも」
「先生に教わるより為になりそう」
「褒めすぎ。…次、それね」
うわ、今…
叶くん、照れたの?
何か、すごく貴重なもの見た気分。
私は叶くんの顔をこっそり覗き込んだ。叶くんはすぐに気づいて大きな手で私の顔を覆ってきた。
「いいから、早く次やりなよ」
「…」
はーい。
軽く怒られてしまったので、私は気を引き締め直して問題に意識を戻した。