「……やっぱ、泣いてたんじゃん」
私は相沢くんに背を向けた。
「来ないで」
「嫌だ」
「帰ってッ」
「帰らない」
相沢くんは私の腕を掴んだ。
「放してッ」
「藤沢。聞いて…」
相沢くんは私の身体を正面に向けた。
私は相沢くんの顔を見れず、俯いた。
「イヤッ、分かってる。…誰かの為に俺を避けるなんておかしいって言うんでしょ? 理屈じゃそうでも、理屈だけじゃどうにもならないんだよ!! そうするしかないの!!」
「落ち着け!」
「?!!」
相沢くんは私を引き寄せ抱きしめた。
急に時間が止まったようで。
一瞬、頭の回線が切れたような感覚にとらわれた。