ここは現代日本のある田舎町…

そこに問題の少女はいた。

「アンタ、確か明日が誕生日よね？」

女性からの問い掛けに、少女は嬉しそうに答える。

「うん！そうだよ。明日で私も15才になるんだから」

少女の名は宮城千波(みやしろちなみ)地元の中学校に通う３年である。

「アンタも明日からまた歳取るのね…」

さっきから千波と会話している女性は千波の母、宮城紗穂(みやしろさほ)だった。

「なんか嫌味な言い方するのね！お母さんは…」

千波はそう言ってそっぽを向く。

「本当のことなんだから仕方ないじゃない…」

すでに四十を過ぎている紗穂にとって年齢を重ねるという行為は忌むべきものでしかない…

しかし、千波にとっては早く『大人になりたい』と願うばかりである。

そのため二人は互いの考えを相違(そうい)していた。