「これを企画した、柏原くんの親友にさっき連絡してみたの」

先生は色紙をあたしに差し出した。

「門真さんが柏原くんの存在を知っているなら、これを渡してくれていいって。
いつまでも図書館のアルバムの中に置いておくより、柏原くんの血を引く門真さんが持ってくれていたらいいからって」



あたしは恐る恐る色紙を手を取った。



写真の中で微笑む拓海くん。



周りにはその当時、全クラスの人達が色紙に拓海くんへのメッセージを書いていた。

裏表関係なくビッシリと。

全部で5枚。





「自分がそこにいる事を望んでいても。
こんな風にいなくなってしまう事がある。
それは防ぎようのなかった事だから…
仕方がないと言ってしまえばそれまでだけど」



先生はあたしを見つめて泣いていた。



「他人がその人の居場所を、しかも嫌がらせや暴言などで奪うなんて本当に酷い。
これで門真さんが学校へ来なくなったら…
君は一種の殺人を起こしたのと同様の罪を犯した事になるんだよ?
人に残る心の傷は、一生ものだよ?」



そう言って交野を見つめた先生は教卓に戻った。