「むっちゃん、酷いよー」

保護者席に戻ると真由は拗ねていた。

「私を呼んでくれない…」



俺と光と祥太郎は大きくため息をついた。

そりゃ…そうだろー!!





子供よりも子供な親なんて…

俺なら嫌だ。





その後のリレーでも、2年生の中で圧倒的な強さを見せた睦海。

チームは惜しくも2位だったけど…

睦海の速さはよくわかった。



「ホンマに怖いわ…」

光、今更言うなよ…

「睦海には逆らわない事にする」

祥太郎まで…

「睦海は化け物でも何でもないよ。
二人を目標に遊びたい時も我慢して毎日トレーニングしてるんだ。
…自然とそうなって当たり前だよ」

俺はそう言って遠くで友達と話をしているのを見つめた。



ただ、それで。

今のクラス…周りがヒクならば。

俺は子供の将来を思う親として、考えなければいけない時が来るかもしれない。



睦海は何も悪くない。

ただ、一つの事を極めようとして、結果他の人より少しだけ、優れる部分が出ただけ。

それを異端児扱いするならば、ここは睦海のいる場所ではない気がする。



…まあ、馴染む努力をしないで好き放題、睦海がしているならばそれはそれでまた別の話にはなるけど。