何年経っても、特に真由にとっては拓海の存在は大きい。



俺も、祥太郎も、光もそれぞれに拓海は心の中で生きているんだけど。

真由はその中でも特別に…



普段、真由は明るく振る舞っているけど、今みたいにふと、思い出しては。

心の中で泣いているのだと思う。





「パパ〜!!」

階段を上がりきると。

いきなり抱きつかれた。

睦海は嬉しそうに俺の顔を見上げている。

「睦海、やっぱり速いね、走るの」

そう言うと、拓海によく似た笑い方をしていた。