睦海が最初の種目、100メートル走に出るまでには、真由と祥太郎は帰ってきた。

先生から色々と質問責めに遭ったらしい。



「そりゃ、質問したくなるかな…」

祥太郎が呟く。

睦海が生まれたのは。

計算すると明らかにおかしい。

拓海の存在を知っている人なら、俺が本当の父親じゃないって事に気がつくと思う。



それでも、戸籍上は俺なんだな。



パッ、と見ただけじゃ、わからない。



でも、それでいいんだ。





100メートル走を余裕で1位ゴールした睦海は。

少し照れながらみんなから祝福と賞賛を受けている。



そしてチラッ、とこちらを見て、手を振っていた。