「走ればよかったのに」

門真さん、冷酷な顔して言わんといて。

俺はヘルメットを脱いだ。

「…オッサンに無理させたら1週間寝込んで仕事になりませんよ」

明日は休みだけど。

また明後日からいつも通りの仕事が始まる。



レーシングスーツは脱がないで俺はモニターを見つめた。



祥太郎、そのまま無事に走りきってくれ!



じっと見つめていたら。

自分でも気がつかないうちに涙がこぼれていた。

モニターに映し出される順位、タイム。



祥太郎、最後の最後まで2分07秒台に入れてるな。

さすが…

俺は09秒台まで落ちていたから、交代して正解だ。