「ママ達、むっちゃんの事を楽しそうに茶化している」

知樹が言うとパパは額に手を当てて

「はあ…そうなの?」

ため息をついた。

「みんな、騒ぎすぎだよ。
少し黙らせて欲しい」

知樹は不快感を言葉に込める。

「…ママはいつもの事だけど、泰樹も桜もなの?」

「…桜は智道の事で喜んでる。
これで邪魔者…むっちゃんがいなくなった、って」

パパの問いに知樹は答えると。

「…怖っ!」

桜の独占欲には参るな、とパパは呆れ返る。

「まあ、泰樹は悪気があって言ってるんじゃないとは思うけど」

知樹はチラッ、とあたしを見つめて

「それでも、みんなむっちゃんの事を考えなさすぎ。
結婚の前には1年半くらい、離れてしまうっていう事を忘れてるんじゃない?」

まあ、俺はむっちゃんには結婚して欲しくないけど、と知樹は付け加えた。