「熱いから、気をつけろよ?」お椀とスプーンを差し出した。 「有難う…。」少し冷まして口に入れた。 荻野さんの作ったお粥は、ママを思い出させる。 「どうした?マズイか?」突然流れた涙の理由を不思議な顔で聞いてくる。 「ううん。美味しい…。ママが作るのと同じだから、ママを思い出したの…。」フッ…と笑うと、優しく頭を撫でながら「お前の親、いないのか?」少し顔が近い…。 「パパの転勤で、フランスにいる。」 俯いて、もう一口お粥を食べた。 「そか…寂しいな。」 「寂しくないよ? 隣に荻野さんいるし。友達も…。」そう言いかけた時、荻野さんがフンワリと私を抱きしめてくれて「無理すんな…。寂しかったら、寂しいって言え。」そう囁いたんだ。