マンションの玄関を出ると一台のタクシーが止まっていた。「乗って?」そう言われて先に乗り込むと、荻野さんも乗ってきた。「W大までお願いします。」 運転手さんに行き先を告げると、タクシーが動き出した。 「W大って、荻野さんの?」 慣れない狭い空間での隣り合わせ。緊張しながら聞いてみた。 ダメだぁ…。緊張して、汗かいてきたし。心臓も祭の太鼓の様に騒がしくなってきた…。 「そう。僕の大学だよ。そこの商学部なんだ。」 チラッとも荻野さんの顔が見れない…。「今日はまた、W大まで何しに?」 このデートの訳を聞いておかないとね。